股関節(お尻)が痛い…その原因と改善法を鍼灸師が解説|立ちっぱなし・座りっぱなしの人へ【調布市・国領駅すぐ】
はじめに
こんにちわ三華堂の早川です。
「歩くと股の付け根が痛い」「立ち上がる時にお尻の奥がズキッとする」――
そんな“股関節まわりの痛み”を感じたことはありませんか?
一見すると「関節の問題」だと思われがちですが、実はそうとは限りません。
多くの場合、股関節そのものよりも、その周囲にある筋肉や筋膜のこわばりが関係しています。
股関節は、体の中心で上半身と下半身をつなぐ“要(かなめ)”の部分。
姿勢の崩れや長時間のデスクワーク、立ち仕事、さらには冷えや運動不足など、
日常のちょっとした積み重ねが、この部分に大きな負担をかけてしまいます。
とくに、お尻側(中殿筋や梨状筋)や鼠径部(腸腰筋や大腿筋膜張筋)は、
骨盤を支えるために常に緊張しやすい場所です。
そのため、知らないうちに筋肉が固まり、血流や神経の流れが滞ってしまうことで、
「足を上げにくい」「長く座ると痛い」といった違和感が出てくるのです。
股関節の痛みは、“体の使い方”や“筋肉のバランス”を映し出すサインでもあります。
今回は、この股関節痛の原因を現代医学と東洋医学の両面から解説し、
鍼灸による改善方法とセルフケアのポイントまで分かりやすくご紹介します。
股関節の痛みの主な原因(現代医学的視点)
股関節の痛みと聞くと、
「関節がすり減っているのでは?」と不安になる方も少なくありません。
しかし実際のところ、股関節そのものに原因があるケースはごく一部。
多くの場合は、周囲の筋肉や筋膜の緊張によって引き起こされています。
💡 股関節まわりの構造
股関節の周囲には、以下のような筋肉が複雑に重なっています。
大殿筋・中殿筋(お尻の筋肉)中殿筋に関する関連記事

腸腰筋(深部のインナーマッスル)腸腰筋に関する関連記事

腸腰筋のイラスト
大腿筋膜張筋(太ももの外側を支える)
梨状筋(坐骨神経の近くに位置する)梨状筋に関する関連記事

中殿筋を外して梨状筋を見えやすくしています
これらは骨盤と脚の動きをつなぐ要の筋肉。
そのため、座りっぱなし・立ちっぱなし・冷え・運動不足などの小さな負担が、
時間をかけて股関節に集まってしまうのです。
🩺 筋肉が固まるとどうなる?
筋肉が硬くなると、血流が悪くなり、神経や血管が圧迫されます。
すると――
「お尻の奥がズーンと重い」
「鼠径部(そけいぶ)に違和感がある」
「足の付け根が突っ張って歩きにくい」
といった症状が出てきます。
一見すると股関節そのものが悪いように感じますが、
実際には**“筋肉由来の痛み”が関節の痛みとして現れている**ケースが多いのです。
🔍 深部の筋肉がカギになる
特に注意したいのは、表面ではなく**深層筋(インナーマッスル)**の緊張。
腸腰筋や梨状筋など、身体の奥にある筋肉は自分では触れないため、
コリがたまっても気づきにくいのが特徴です。
この深層筋がこわばると、骨盤の動きが制限され、
結果的に股関節の可動域が狭くなり、痛みが長引いてしまいます。
それでは次に当院にいらっしゃった股関節を痛めた方の実例を見ていきましょう。
股関節を痛めた時の実例
デスクワークで座りっぱなしの女性(30代)
60代の女性で、在宅ワークが増えてから「右の股関節の前側がズキッと痛む」と来院された方がいました。
長時間イスに座り、太ももが圧迫される姿勢が続いたことで、腸腰筋がこわばり、骨盤の動きが制限されていました。
「立ち上がる瞬間にズキッ」「階段を登るときに違和感」という症状が特徴で、特にお尻の側面から鼠径部に広がる痛みが発生していました。
2か月程放置した結果、改善する事がなく来院しました。
鍼灸で徐々に痛みがが改善していき、治って行きました
このように日常の生活動作から股関節を痛めてお尻に症状が発生する事は度々あります。
それではいくつかの痛める原因についてお伝えしていきましょう。
🩺 股関節を痛める原因とは?
股関節は、体の中でもっとも大きく、かつ多方向に動く関節です。
歩く・座る・立つ・しゃがむ――これら日常動作のほとんどに関わっており、
そのぶん負担もかかりやすい部位です。
痛みの原因は一つではなく、
筋肉の硬さ・姿勢のクセ・使いすぎ・冷えや血流の悪化など、いくつもの要素が重なって起こります。
💡 代表的な原因3つ
① 座りっぱなし・立ちっぱなしの姿勢
同じ姿勢が続くと、股関節まわりの筋肉――特に腸腰筋や大腿筋膜張筋が硬くなります。
この状態が続くと、骨盤の動きが制限されて、**お尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)**にも負担がかかります。
長時間デスクワークをしている人や、立ち仕事の多い人に多いパターンです。
📎 関連記事:
👉 腸腰筋って何?姿勢・腰痛・呼吸にも関わるインナーマッスルの秘密
② 歩き方や体重のかけ方のクセ
片足に体重をかけるクセや、つま先が外を向いた歩き方は、
中殿筋や大殿筋のバランスを崩し、股関節の片側に負担をかけます。
結果として、歩くときに“足の付け根が詰まる”ような違和感や痛みが出ることも。
📎 関連記事:
👉 中殿筋ってどんな筋肉?片足立ち・歩行・腰痛に関係する“お尻の支柱”
③ 冷えや血行不良による筋緊張
冷えによって血流が悪くなると、股関節周囲の筋肉が固まりやすくなります。
特に**太ももの前側(大腿直筋)や外側(腸脛靭帯)**は、温度変化に敏感で、
寒い季節や冷房の効いた環境で痛みが出やすくなります。
🌿 ワンポイントアドバイス
股関節の痛みは「関節そのもの」よりも、
周囲の筋肉や姿勢バランスの乱れから来ていることが多いです。
そのため、ただ安静にするだけでは改善せず、
「お尻の硬さを緩める」ケアが必要になります。
鍼灸で整える「股関節まわりのバランス」
股関節の痛みを訴える方をみると、共通しているのは筋肉のアンバランスです。
片側だけ固くなっていたり、逆に反対側の筋肉が働いていなかったり――。
この左右差が、動作のたびに股関節にねじれを生み、痛みを長引かせる原因になります。
鍼灸では、まずこの「バランスの乱れ」を整えることから始めます。
🌿 鍼灸のアプローチ①:深部の筋肉をゆるめる
鍼は皮膚の奥にある腸腰筋や中殿筋の深い層まで刺激を届けることができます。
この筋肉は、ストレッチやマッサージでは届きにくく、慢性的な痛みの温床になりやすい部分です。
ピンポイントで緊張をゆるめることで、
股関節の動きがスムーズになり、「足の付け根の詰まり感」が軽減します。
🌸 鍼灸のアプローチ②:血流と神経の流れを改善する
股関節の周囲には、坐骨神経や大腿神経などが走っており、
筋肉が硬くなると、これらの神経や血管を圧迫してしまいます。
鍼灸で筋肉の緊張をやわらげることで、
神経の通り道が広がり、血流が改善。
結果として「ズキズキする痛み」「重だるさ」「冷え」などの症状が和らいでいきます。
🍃 鍼灸のアプローチ③:東洋医学的に“気・血・水”の流れを整える
東洋医学では、股関節の痛みを「気(エネルギー)の滞り」や「血の不足」として捉えます。
特に肝経・胆経・腎経といった下半身を巡る経絡が関わっており、
これらの流れが滞ると、足の付け根やお尻に痛みが出やすくなります。
鍼やお灸を使って“気・血・水”の流れを整えることで、
体の中からバランスを取り戻し、再発しにくい状態を作っていきます。
🧠 鍼灸の治療で得られる変化
施術を続けていくうちに、
「足の動きが軽くなった」「立ち上がるときの痛みが出にくくなった」
といった変化を感じる方が多いです。
そして最終的には痛みは全くでなくなるところまで解決するケースが殆どです
また、血流が整うことで冷えの改善や代謝アップも期待でき、
股関節の痛みだけでなく、腰痛・足のむくみ・姿勢の崩れなどにも良い影響が広がります。
股関節の痛みを防ぐセルフケアと日常の工夫
股関節の痛みは、一度良くなっても再び負担がかかる環境に戻ると再発することがあります。
特に「座りっぱなし」「冷え」「姿勢の偏り」が続くと、筋肉が再び固まりやすくなります。
日常の中で少し意識を変えるだけでも、痛みの予防につながります。
🌙 1. 座り姿勢をこまめに変える
長時間のデスクワークや運転では、30分~1時間ごとに軽く立ち上がりましょう。
ほんの1~2分でも立ち上がって体を伸ばすだけで、
腸腰筋や大腿筋膜張筋のこわばりを防ぐことができます。
📎 関連記事:
👉 デスクワークによる腰痛を改善!原因・対策・鍼治療の効果を徹底解説
🧤 2. 下半身を冷やさない
冷えは血流を悪くし、股関節周囲の筋肉を固くします。
秋冬や冷房の季節は、腰~太ももを冷やさない服装を意識しましょう。
とくに夜の入浴後にストレッチや軽いマッサージをすると、翌朝の動きがスムーズになります。
🚶♀️ 3. 歩くときは腹筋を意識する
股関節の負担を減らすには、歩行時に“脚だけ”でなく前のめりにならない姿勢であることも大切です。
背すじを伸ばし、肩の力を抜いてリズムよく歩くことで、中殿筋や大殿筋が自然に使われ、股関節の安定につながります。
その際腹筋を意識して、へその下に力が入る感覚をイメージすると姿勢よく歩く事が出来ます。
腹筋や背筋をうまく使う事で、お尻や股関節、腰への負担を減らすことができます。
🧘♂️ 4. ストレッチは“伸ばしすぎ注意”
「痛みがあるからストレッチでほぐそう」と思って、
無理に股関節を開いたり、強く押したりする方もいますが、これは逆効果になることがあります。
硬くなっている筋肉を急に伸ばすと、防御反応でさらに筋肉が固くなるため注意が必要です。
優しく、ゆっくり呼吸をしながら伸ばすのがポイントです。
📎 関連記事:
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🌿 5. 定期的なメンテナンスで再発を防ぐ
股関節の痛みは、その場しのぎのケアでは根本改善が難しい部位です。
普段の生活でどれだけバランスを保てるかが大切になります。
鍼灸では、筋肉だけでなく自律神経や血流も整えるため、
「疲れがたまりにくい体」「痛みにくい体質」へと変えていくことができます。
☀️ まとめ
股関節の痛みは、筋肉・姿勢・血流・冷え――
この4つが複雑に関わり合って起こります。
日常のクセを少し見直しながら、
定期的な鍼灸ケアで「痛みにくい体」を作っていきましょう。
もし体のお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。解決へのヒントになるかもしれません。
TEL 042-481-0626

