五十肩だと思っていたら腱板損傷?|見分け方と対処法を丁寧に解説

こんにちわ、東京都調布市国領町にある三華堂はりきゅう整骨院の早川です。

「五十肩かと思っていたけれど、なかなか治らない…」
そんなご相談をいただくことがあります。

実はその肩の痛み、腱板損傷かもしれません。

五十肩(四十肩)と腱板損傷は、どちらも「肩が痛くて動かしにくい」という共通点がありますが、発生部位や症状の重さに少しずつ違いがあります。とはいえ、完全に別物というわけではなく、症状が重なりあうケースも多いため、最初の段階で見極めるのが難しいのです。

また、**ケアの内容も腱板が完全に断裂していない限り、基本は保存療法になるため、五十肩と大きく異なるということはありません。**五十肩でも関節包だけでなく周囲の筋肉や腱板まで炎症が及ぶことがあり、似たような経過をたどるケースもあります。

ただし、**腱板損傷では筋繊維自体に傷や断裂があるため、五十肩に比べて損傷の度合いがやや重く、治るまでに時間がかかる傾向があります。**そのため、「ただの五十肩だろう」と思って放置していると、予想以上に長引いたり、痛みが悪化してしまうことも。

この記事では、腱板損傷の特徴・五十肩との違い・鍼灸など東洋医学でできるアプローチまでを、やさしく解説していきます。

🟧 腱板損傷とは?|肩の深部にある筋肉と腱の障害

腱板(けんばん)とは、肩の奥深くにある4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)とその腱の総称で、肩関節の安定性と滑らかな動きを支える重要な構造です。

日常生活では、物を持ち上げたり、腕を上げたり、洗髪・洗顔のような何気ない動作の中で腱板が頻繁に働いています。しかし、この腱板が何らかの原因で損傷を受けると、動かしたときの鋭い痛みや引っかかり感、夜間痛、腕をうまく上げられないなどの症状が現れるようになります。


✅ 腱板損傷の主な原因

  • 加齢による変性(腱がもろくなる)

  • スポーツや作業などでの反復動作(オーバーユース)

  • 転倒や打撲などの外傷

  • 長年の肩こりや不良姿勢による慢性的な負担


✅ 損傷の種類と程度

腱板損傷は、軽度の炎症(腱炎)から、腱が部分的・完全に断裂してしまうケースまで幅広く存在します。

五十肩と異なり、腱板損傷では「動かすとズキッとくる」「腕が上がりそうで上がらない」といった、**筋の断裂や損傷に起因する“明確な痛み”**があるのが特徴です。


✅ 東洋医学的な視点では…

東洋医学では、腱板損傷のような深層筋・腱の障害も「気血の巡りの滞り」「寒邪の侵入」「筋経の損傷」といった概念でとらえます。

  • 肩の奥に重だるい痛みがある

  • 夜間痛があり眠れない

  • 動かすと痛みが増す

こうした状態には、肩周囲の深部の血流を促し、筋腱を回復させる鍼灸施術が有効で、早期の回復を助けることがあります。

ただし、腱板が完全に断裂している場合は、鍼灸では対応が難しくなります。
このため、痛みが非常に強い場合や、腕がまったく上がらない・力が入らないといった症状がある場合は、まず整形外科などで画像検査(MRIやエコー)を受けることを強くおすすめします

そのうえで、手術の適応でないと診断された場合や、保存療法での回復が望める場合には、鍼灸施術を併用することがとても有効です。
むやみに鍼をすすめるのではなく、状態を見極めて適切な判断をすることが、回復への第一歩となります。

では次は五十肩と腱板損傷の見分け方についてお伝えしていきましょう

🟧 五十肩と腱板損傷は見た目で見分けられるのか?

結論から言えば、「外見だけで五十肩と腱板損傷を見分けるのは極めて困難」です。
両者とも「肩が上がらない」「夜間に痛む」「服の着脱がしづらい」といった症状が共通しており、日常生活への支障もよく似ています。

❌ 関節の動き方だけでは見分けられない

肩の可動域や動かし方(自動運動と他動運動の差など)を確認する検査はありますが、それだけで完全に区別するのは難しいのが現実です。
五十肩でも腱板の炎症や拘縮を伴えば、筋損傷に似た動作痛が出ることもありますし、逆に腱板損傷でも一時的な炎症により動きが制限されることもあります。

また、五十肩では関節包の硬化や癒着が中心であるのに対し、腱板損傷は筋腱そのものの損傷であるという内部構造の違いがありますが、それは外から見ても触れてもわかりません。

✅ 見極めるには画像診断が必要

このように、表面的な症状や痛み方だけで両者を正確に判別するのは難しいため、「いつまでも治らない」「特にズキッと鋭い痛みがある」といった場合には、MRIやエコーなどによる画像検査が推奨されます。

整形外科での画像診断によって、

  • 腱の部分断裂や完全断裂の有無

  • 関節包の炎症や癒着の状態

  • 滑液包の腫れや石灰沈着の有無 などが明確になります。

🌀まずは病院で確認しよう

肩の痛みが発生した後、あまりにも症状が酷い場合があります。
その場合、腱板の軽度損傷が背景にあったり、石灰沈着や肩峰下滑液包炎などが隠れている場合もあります。

特に、

  • 発熱を伴うひどい痛み

  • 「夜の痛みがいつまでも引かない」

  • ずっと痛みが続いている。
    といった場合は、腱板断裂やひどい腱板損傷の可能性があるので、適切な検査・判断を受けることが重要です。

※参考
【慶應義塾大学病院】腱板断裂(肩腱板損傷)

 

🟧 鍼灸は腱板損傷にどうアプローチできるのか?

腱板損傷と聞くと、「手術が必要?」「鍼灸では無理なのでは…?」と不安に感じる方も多いかもしれません。しかし実際には、腱が完全に断裂していないケースであれば、鍼灸による保存療法が有効に働くことも少なくありません。

✅ 断裂していない=自然治癒の可能性がある

腱板損傷には程度があります。

  • 軽度の炎症(腱炎)

  • 部分断裂

  • 完全断裂

このうち、軽度の炎症や部分断裂であれば、手術をせずに自然治癒を目指す保存療法が基本となります。

こうしたケースでは、血流改善や筋緊張の緩和、動作時痛の軽減などを目的として、鍼灸が効果を発揮することがあります。

✅ 東洋医学的なケアの方針

腱板損傷に対する鍼灸施術では、以下のような方針で治療を進めていきます:

  1. 肩の深部にある筋肉と腱の血流促進
     → 棘上筋や棘下筋など、腱板を構成する筋群にアプローチすることで、損傷組織の修復を助けます。

  2. 肩関節周囲のこわばりを緩める
     → 損傷をかばうことで起こる周辺部の緊張を取り除き、動かしやすさを改善します。

  3. 夜間痛への対応
    →施術を5-6回ほど進めていくと夜間痛はほぼ起きなくなることが多いです。

🌀「五十肩だと思っていたけれど、なかなか治らない…」

実際に当院に来院される方の中には、病院で「五十肩」と言われたものの、症状が長引いていた方もいらっしゃいます。そうした方の中には、軽度の腱板損傷が含まれているケースも少なくありません。

  • 施術を進めていくうちに、深部の筋腱へのアプローチで改善が見られた

  • 一定期間を経て、夜間痛や動作時痛が軽減してきた

というように、病院での正確な診断のうえで、保存療法の一環として鍼灸を取り入れることで、回復に向かう方も多くおられます。

🟧 つらい肩の痛みが続くとき、どうすればいいのか?

「最初は五十肩かと思って放っておいた」「湿布やマッサージで様子を見ていたけれど、治らない」
そんなふうに、肩の痛みを自己判断で長期間放置してしまう方は少なくありません

しかし、腱板損傷や石灰沈着性腱炎など、見た目では分からない深部の障害が原因となっていることもあり、放置によって回復までの時間が長引く、あるいは悪化することもあります。

✅ 自己判断はNG|まずは病院での検査を

繰り返しになりますが、「明確な損傷があるかどうか」は外からの観察だけではわかりません。
以下のような症状がある場合は、整形外科などでの画像診断(MRIやエコー)を受けることをおすすめします

  • 夜間痛がひどく、眠れない

  • 動かしたときに鋭くズキッと痛む

  • 酷い痛みと共に発熱もある

  • 数週間以上改善の兆しが見られない

このような場合はすぐにでも病院に行って検査を受けたほうがいいでしょう。

そのうえで「検査をして、手術の必要はないと分かった」「腱板損傷はあるが腱板が完全に断裂しているわけではなかった」
こうした場合病院でも保存的治療が選択されます。

よって、保存療法を選択する方には、鍼灸による腱板損傷のケアも有効な選択肢の一つとなり得ます。

✅ 三華堂でのアプローチ

三華堂では、以下のような流れで施術方針を立てていきます:

  1. 初回の問診で、五十肩か腱板損傷かを“疑う”段階から丁寧に聞き取り

  2. すでに病院での診断を受けている方には、その所見に基づいた対応

  3. 検査をしていない方には、激しい症状がある方に対しては経過とリスクを丁寧に説明し、病院の受診も併せて勧める

  4. 保存療法を選ばれている方には、鍼灸によって痛みの軽減と機能回復を目指す施術を行う

「よくある五十肩だと思っていたけど、違った」
そんなケースこそ、最初の判断と行動が、回復までの道のりを左右することになります。

🟧 肩の痛みが治らないときは、まず原因を正しく見極めよう

肩の痛みが長引くと、日常生活にも仕事にも支障が出てしまいます。
五十肩と思っていた痛みが、実は腱板損傷だった――
そういったケースは少なくなく、誤った自己判断が回復を遅らせてしまうこともあります。

✅ 大切なのは「何が起きているのか」を知ること。

肩の痛みには、関節包の癒着や筋腱の損傷、滑液包の炎症、石灰沈着など、さまざまな要因が隠れています。
まずは検査を受けて、自分の肩に何が起きているのかを正確に把握することが、最も早い回復への近道です。

✅ 保存療法なら鍼灸も選択肢に。

完全な断裂などで手術が必要な場合は病院での治療が優先されますが、そうでない場合、鍼灸による施術が役立つことがあります。
三華堂では、患者さんの状態に応じて「いま必要なこと」を見極め、無理のない回復プランを提案しています。


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